(初級編)
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単位の表記は実験Aでの学習事項として特に重視されているが、正しく書けていない学生も多いと思われる。少しの手間で簡単に楽をすることができるのでこのページの記載事項は是非覚えてほしい。
単位は立体で、数値と少し離して書く。数式モード中でのスペースは無視されるため、\,
を使うこと。これは半角スペース(\
)よりも小さなスペースを空けることができる。
組立単位は\cdot
と指数を使えば書くことができるが、それよりも次節以降を参考にしてほしい。
%注:次節のsiunitxの説明も読むこと
\begin{description}
\item[×] $10.5cm$, $10.5 cm$, $10.5\mathrm{cm}$
\item[△] $10.5\ \mathrm{cm}$
\item[○] $10.5\,\mathrm{cm}$
\end{description}
%\cdotの後はスペースが必要(\cdotsも存在するため)
\[ 9.80665\,\mathrm{m\cdot s^{-2}} \]
\[ 9.80665\,\mathrm{m\,s^{-2}} \]
もし上記の式を前節の方法で書くなら、以下のようになるだろう。
\[ c = 2.997\,924\,58\times 10^8\,\mathrm{m\,s^{-1}} \]
スペースや立体の指定で無駄に長くなっている上に、非常に読みにくい。これはとても悪い例で、間違ったやり方だと断言できる。なぜなら、より良い方法が存在するからである。
結論をいうと、上記の式は以下の方法で簡単に記述することができる。
\[ c = \SI{2.99792458e8}{m.s^{-1}} \]
というわけで、理工系のレポートを書くなら絶対に覚えて損はない、siunitxの使い方。
まず、\SI
や\si
コマンドなどを使うにはsiunitxパッケージを読み込む必要がある。\usepackage{パッケージ名}
を\begin{document}
の前に書くとパッケージを読み込むことができる。
\documentclass[a4paper]{jsarticle}
\usepackage{siunitx}
\begin{document}
...
\SI
コマンドを使うと、単位の付いた数値を簡単に書くことができる。\SI{数値}{単位}
のように使う。数値にはe8,e-3
のような指数表記をつけることができ、後者は10の-3乗を意味する。単位には、アルファベットのほか、コマンドを組み合わせて指定することもできる。詳しくはコード例参照。なお、\SI
などは数式モード外でも使用可能である。
%アルファベットで表現できる単位はそのまま
$\SI{3.16}{cm}$, $\SI{-7.4}{nA}$, $\SI{54.4}{GPa}$
%特殊な記号はコマンドを使う
%SI接頭辞やアルファベットで表現できる単位にもコマンドが用意されている
$\SI{2.5}{k\ohm} = \SI{2.5e3}{\ohm}$, $\SI{25.7}{\degreeCelsius}$, $\SI{3.500}{\micro\meter} = \SI{3.500}{\micro m}$
%組立単位は . / ^{} で表記する
%\SI中で\cdotを使うのはあまりよろしくないが簡易
$\SI{4.181}{J.g^{-1}.K^{-1}} = \SI{4.181}{J/(g.K)} = \SI{4.181}{J/(g\cdot K)}$
\si
コマンドは、\si{単位}
で単位だけを出力する。同様に、\num{数値}
は数値だけを整形することができる。\si
は表の見出しに使用されやすい。
\begin{table}[h]
\begin{tabular}{cccc} \hline
測定回数 & $a/\si{mm}$ & $b/\si{mm}$ & $d/\si{mm}$ \\ \hline
1 & 8.081 & 25.710 & 838 \\
2 & ... & & \\ \hline
\end{tabular}
\end{table}
siunitxパッケージにはその振る舞いを変更するためのオプションを指定することができる。オプションは\usepackage
に設定すると文書全体に適用され、\SI
などのコマンドに指定するとそのコマンドだけに適用される。\sisetup
コマンドを使うとオプションをそれ以後の全体に適用することができる。
\documentclass[a4paper]{jsarticle}
\usepackage[オプション1]{siunitx} %オプション1は文書全体に適用
\begin{document}
\SI[オプション2]{64.0}{g} %オプション2はこの\SIコマンドのみに適用, オプション1も適用されている
...
\sisetup{オプション3} %オプション3は以後適用
...
\SI{137.42}{mm} %オプション1, 3が適用されている
\end{document}
以下にオプションの使用例を示す。
%group-digits - 桁区切りをするかどうか
%true:する, false:しない, decimal:小数のみ, integer:整数のみ デフォルトはtrue
%実験Aにおいてはわざわざ無効にするメリットはない
\[ c = \SI{2.99792458e8}{m.s^{-1}} \]
\[ c = \SI[group-digits=false]{2.99792458e8}{m.s^{-1}} \]
siunitxパッケージの詳細は全て下記のリファレンスに書かれている。
その他のオプションや、siunitxの他のコマンドは以下の項目で解説されている。